檜洞丸(ひのきぼらまる)は西丹沢に位置し、1,601mと丹沢山塊の中では4番目に高い山です。
檜洞丸といえば、シロヤシオの名所!登山道の両脇を、小ぶりの白いツツジが頭上に咲き乱れます。
その時期になると平日でも、たくさんの人が押しかけます。
でもそれも納得!の見事なシロヤシオロード。年に一度のシロヤシオを楽しみたくて、みんな息を切らしながら頑張って登っていました。
山頂からの眺望も抜群!というほどではありませんが、遠くの山を眺めることもできますし、山頂標識から少し離れたほうに行くと、富士山も拝めます。
ただ、このコースは中級者向けです。
累積標高が1,200m超、標準タイムも6時間20分もあります。標準タイムに休憩時間を加えると、余裕をもって8時間弱かかると見たほうがいいですから、登山を始めたばかりの人にはおススメできないコースになります。
色んな山を登ってきて、体力がついてきた方には、登ってほしい山です。
途中のゴーラ沢出合では、橋のない川を渡るシーンなどもあるので、普段の登山と一味ちがう体験を楽しむこともできます。
こんな方におススメ!
- 体力にそこそこ自信のある人
- シロヤシオなど季節の花を見るのが好きな人(季節限定だけど)
- 橋のない川を渡ってみたい人
檜洞丸【ツツジ新道ルート】データ
標高 | 1,601m | 累積標高 | 1,224m |
距離 | 9.6km | タイム | 06:20 |
難易度 | 中級 | 体力 | ★★★★☆(4) |
景色の良さ | ★★★☆☆(3) | おすすめ度 | ★★★☆☆(3) |
※ 難易度は初級(Lv1~3)~中級(Lv4~6)の間で分けています。
※ おススメ度は5段階で、ヤマリが登って楽しいと感じた山ほど星の数が多いです。
※ これらはあくまで、ヤマリの個人的主観に基づいたものです。
シロヤシオが咲いている時のおすすめ度は★5になります!
登山ルート【ツツジ新道】

ビジターセンターからスタートし(ヤマリたちはビジターセンターの駐車場がいっぱいで、手前の駐車場からになりましたが…)、2キロくらいは緩やかな上り坂で、ゴーラ沢出合を過ぎてから勾配が増すので、体力が削られます。
アップダウンが少ないのはいいですが、山頂までほとんど登り続けます。結構大変です。
檜洞丸へのアクセス方法
車の場合
東名自動車道 大井松田IC → 国道246号 → 県道76号 → 西丹沢ビジターセンター
東名を下りてから、246が通勤ラッシュで混んでました。反対側は空いてたんですけどね。
県道76号に入ってからはスイスイで、丹沢湖を見ながらさらに奥地へと入っていき、西丹沢ビジターセンターへ。
道は最後までしっかり舗装されているので、車高の低い車でも大丈夫です。
駐車場はビジターセンターと対面のスペースに30台くらいは停められるかなーと思いますが…。
シロヤシオの季節は、平日でもこの駐車場に止めるのは難しいです。
ヤマリたちも満車だったので、仕方なくだいぶ手前の無料駐車場まで引き返して、そこに車を置きました。そこはまだ余裕がありましたが、段々埋まってきてました。
その駐車場から西丹沢ビジターセンターまでは1.5kmほど歩くので、できたらビジターセンターに置きたいところではあります。
公共交通機関の場合
小田急新松田駅 富士急湘南バス「西丹沢ビジターセンター行」で終点まで
(1,210円、乗車時間は約一時間)
駅からバスで一本でビジターセンターまで来られるので、時間はちょっとかかりますが、アクセスは比較的容易です。バスは往復割引や、それに加えて温泉に入れるチケットなども売っているので、そちらを使うとお得みたいです。
バスの本数も、冬以外の土日は一日8本と、まあまあの頻度で出ているみたいです。
富士急湘南バスのサイトへ
檜洞丸登山レポ
「なにこれ!246全然動かないんだけど~」
大井松田ICまではさくっと来られたのに、下の道が結構な渋滞で、ヤマリは頭の中で到着時間の修正を行っていた。
むむむ…これだと、到着が8時前になってしまう。そうすると、ビジターセンターの駐車場は余裕で絶望的っぽい…。
西丹沢ビジターセンターへあと1kmを切ったところで、数台の車とすれ違う。
「これ、駐車場いっぱいで引き返してる車なんじゃないのか?」と、ボーノさん。
その予感は的中。しかもビジターセンターの前には、路駐は許さんとばかりにお巡りさんまでいる。
仕方ないので1.5km手前にあった無料駐車場まで引き返して、そこに車を置く。
「あー、ここに駐車場あってよかった~」

支度を終えて、ヤマリたちはとぼとぼと歩き出す。
そう、まだ、西丹沢ビジターセンターというスタート地点にも立てていないのだ。
20分ほど歩いて、西丹沢ビジターセンターに到着。


中にトイレがあるし、靴を洗う場所まである。月曜日はビジターセンターはお休みみたいだけど、トイレは使えるみたいだ。
トイレを済ませてレッツゴー!
ここからようやくスタートって感じ。
すぐ後ろには、キャンプ場があった。

「前はここも登山者のために駐車場開放してくれてたらしいんだけど、キャンプ場の利用者とトラブルがあって、利用できなくなったんだって。残念だよねーここに停められたら、大分楽なのに」
ヤマリが言うと、ボーノさんは軽く首をすくめた。
「マナー悪い奴がいるもんだな」
「あそこ、入場不可とか書いてあるー。なんかきびしー」
などと色々言い散らかしているが、帰りはこのキャンプ場の中を突っ切って帰ってくることになるのを、この時の二人はまだ知らない。
しばらくキャンプ場を横目に歩いて行くと、急に右手に檜洞丸の登山口が現れた。

登山口はいつも急に現われる。
手前に人がいなかったら、そのまま歩き過ぎそうな。
道に入ると、ん?ここ歩くの?目の前小川流れているんだけど、みたいな場所を通って、細い山道を登っていく。

木々の中、ところどころに木の橋がかかっていたりする。
ボーノさんは快調に、どんどん歩いて行く。


気持ちいいお散歩コースを歩いていると、ボーノさんが何かつぶやいた。
「ん?今なんて?」

「この辺りはまだ余裕だけどな」
ボーノさん、事前に檜洞丸を調べたらしく、この山は始めは優しいが、後半は急に本性を露わにすることを知っていた。そう、この檜洞丸は、後半の登りがきつくなる山なのだ。
歩いていた道が突然なくなって、ボーノさんが立ち止まり、きょろきょろと道を探し始める。

あ、こっちか、と右のほうに歩いて行く。
よく見ればわかるけど、歩きにくいし、ここはちょっとした注意ポイント。

しげしげと道標を見ていたボーノさん。
これの少し手前にあった道標の合計距離を覚えていたらしく、何やら計算をして、消す前の数字の方があっているんじゃないか云々と言っていたけれど、数字に弱いヤマリにとってみれば、言っていること全てが呪文のように聞こえていた。

この先ちょこっと歩くと、開けた場所に出た。
おっ?ここが噂の歩いて川を渡るポイントでは!

お疲れ様と労をねぎらってくれているが、むしろここからが過酷な登山の開始と言ってもよかった…。
目の前を流れる川。今日は暑いので、清流が気持ちよさそうに見える。
少し前に雨が降ったせいか、水量はぼちぼちある。
周りを観察していると、靴を脱いで裸足で渡っている人、右側の石が並んだところを、登山靴を川に突っ込み飛沫を上げながら、ぴょんぴょんと渡っている人。
「どうする?靴脱がなくてもなんとかいけそうだけど」
ヤマリが悩んでいる間に、ボーノさんは大きな石に腰を掛けてさっさと靴を脱ぎ始めた。
「でもあれ、川に足、半分突っ込んでるやん」

ヤマリも靴を脱いで後に続いた。
足が痛くならない場所を選びながら、川の中を裸足で歩く。川の流れはひんやりとしていて、この暑さの中では、かなり気持ちいい~!童心に帰った気分で、川底の石を踏み踏み。
ついでに足がすっきりさっぱりした。
ヤマリが対岸で靴下をはいていると、あとから来た人たちも、思い思いに渡河していた。

普通の山登りでは、あんまりこういうことがないから、ちょっと新鮮。
そういった人たちを眺めながら、お菓子を食べて少し休憩したのち、再び行動開始。
川上に進むと、川遊び満足したか?ここから本番やで、と、再び登山道が始まる。

ここから急に登りがきつくなる。
川遊びまでさせて私たちをすっかり油断させてからの、この仕打ち。

少し進んだところに、休憩ポイントを発見。
勾配がきつくなって、鞭を使ってきたかと思えば、即座に飴をちらつかせてきた檜洞丸。

さすがにさっき川で休憩したばかりなので、ここはスルーして進んでいく。

だが、ボーノさん、いつもに比べてペースが上がらず、バテ気味である。
「昨日海行った疲れがまだ残ってるのかなー」
とぼやいているが、それはヤマリも同じである。
ヤマリも疲れてきたが、それが昨日のせいか、それとも最近停滞気味だが地味に行っているダイエットのせいだかは、よくわからない。
とにかく言えるのは、キツイ。この山後半がキツイ。
前日十分休んだ状態なら、少しは違う感触だったかもしれないけれど。

途中で何度も休憩をはさみつつ、ヨタヨタと登る二人。


この道標の横には休憩ポイントがある。

ヤマリたちもここで少し休憩。
私たちより少し遅れてきたミドルエイジの女性は、この広場に着いたとたん、膝に手を当てて大きく息を吐いていた。
きついよねー、分かる分かる。
休憩後は口数も少なく、歩く歩く休憩、歩く休憩歩く、みたいな感じで進んでいく。
ボーノさんが疲れた~ここでお弁当食べて帰ろう~って、いつものお約束を言っているのを当たり前のようにスルーして、黙々と前進。
そして遂に!
シロヤシオがようやくその美しい姿を現した。ヒロインは遅れて登場するもの!

一年にこの季節しか見られない、シロヤシオ。
見上げればあちこちの木で、白く可憐に咲いている。
「おー!すごーーーーい!!!」
ヤマリが写真を撮りまくる間、特に花には関心がないボーノさんは、スマホにその姿を数枚収めると、あとは横で休憩していた。ボーノさん、あまりに虚無の顔をしていたので、ヤマリは後ろに映るシロヤシオとの2ショットを撮ってあげた。
見上げるとシロヤシオだらけの、満開のシロヤシオロードが始まったが、それでも山頂はまだ先だ。


シロヤシオだけじゃないよと、トウゴクミツバツツジも目立つ色で咲いていた。
とはいえ、シロヤシオほど密生してないので、若干劣勢な感は否めない。


シロヤシオを追いかけて登っていると、次なる休憩ポイントに到着。

周りにはシロヤシオの木がたくさんある。


葉っぱの先がピンクになっているのもあって、それはまたそれでかわいい。
こんな満開ジャストのタイミングに来られて、本当に良かった。

木々の間から景色が開け、富士山が顔を見せる。

冬だと、もっとくっきりはっきりと富士山を見ることができそう。
この辺りまでくれば、もうあと一息…なのだが、ヤマリも足が上がらなくなってきて、自分で自分を励ましながら、木の階段を登っていく。
整備してくれてるんだなーと思いつつも、この木の階段がけっこう曲者で、じわじわと体力を削り取ってくる。ましてや、ゴール手前の木の階段とか、何の罰ゲームですか、みたいな…。
登り切って、今度は木道の場所に出た。
ここからしばらくは平たんな道になる。

もう山頂まではこのままかな~と思うとそうでもなく、最後にまた少し上りがあって、最後の気力を奮い立たせることになった。

そしてようやく檜洞丸の山頂に!

着いたどー!
山頂は広々としていて、テーブル兼ベンチがいくつも設置されている。

運よく空いているベンチ兼テーブルを見つけたので、そこで休憩&お昼ご飯。
今回のお昼ご飯は、コンビニで買ったお弁当。
「そんなんじゃ足りないだろう。だから帰りにいつもお腹すいたーって言うんだよ」
靴を脱いたボーノさんは、ヤマリの弁当にケチをつけつつ、さっそく頬張っていた。
実際下山してからお腹がすくのだが、お昼を食べる時はそこまで量が多くなくても、ヤマリは大丈夫なのだ。腹八分目はいいことだって言うしね。
食べ終わってぼちぼち元気を取り戻せたので、下山開始。
本当は周回しようかと思ってたんだけど、二人ともそこまでの元気は出なくて、来た道を引き返すピストンで妥協。周回はまたいつか~。

ヤマリたちが下山する時も、結構登山者とすれ違ったけど、大半が疲労困憊していて、きつかったのは自分たちだけじゃないんだなー、と、後日ボーノさんが言っていた。


帰りは帰りで、疲れているところに階段が地味にきつく、更に階段が終わっても、石がゴロゴロしている道を下るという、足を苛め抜く構成になっているツツジ新道。
「あー!ようやくここまで戻ってきたー」
と、ゴーラ沢出合まで何とか戻ってきたヤマリは、川でバシャバシャと顔を洗って、ようやく少し気力を取り戻した。
帰りは靴を脱ぐ気力がなかったので、登山靴のまま渡河して、あとは比較的なだらかなルートを下るだけ。
なんだけど、途中で分岐を発見。どっちからでもビジターセンターに戻れるらしいので、域とは別の道を通って帰ることにした。


分岐して最初こそ急で滑りやすい下りだったけど、あとは比較的歩きやすかった。

こちらのルートは、しばらく川の周りを歩くことができるので、歩いていて気持ちいい。暑いけど。
その内キャンプ場内の敷地に入り、底を通り抜けると、ビジターセンターに着いた。

ただ、今回のゴールはここではない。
二人して「遠いー遠いー」と言いながら、この先の駐車場にたどり着いたのだった。
檜洞丸ツツジ新道ルートの感想
シロヤシオが綺麗で、見に行ったかいがあった!
と同時に、結構疲れたな~というのが、今回の感想です。
丹沢の山って、後半にキツイ登りが多いみたいなんですが、ここもそんな感じです。
靴を脱いでの渡河も暑い季節には気持ちよくて、なかなかに楽しいです。
とはいえ、初心者にはおススメできないコースなので、体力をつけてから登ったほうがいい山だと思います。
体力さえあれば、ルート自体は難しいところはないので、楽しめる山です。
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